糖尿病の治療では、他の生活習慣病と同様に、食事療法と運動療法から開始します。そしてその後、薬物療法が必要となってからも、食事療法・運動療法を継続していかなければなりません。
いわば食事療法・運動療法は、糖尿病治療の柱と言えます。
糖尿病の初期から適切な食事療法・運動療法を行い、血糖をコントロールしていくことで、糖尿病の進行と合併症を防ぎ、ごく普通の日常生活を送ることができるようになります。
食事療法
食後の血糖値を上げやすい糖質は控えめに
食事療法において重要なのは、食事量をコントロールすることと、食事の内容・食べ方です。
三大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質のうち、血糖値の上昇を招きやすいのは糖質です。ごはん、パン、麺類、じゃがいもなどに豊富に含まれています。
糖質を含む食材は、できるだけ控えめにしましょう。玄米や雑穀ご飯、全粒粉のパンなどに置き換える方法も有効です。
まずは野菜から食べて、食べ物はよく噛んでたべましょう
食べる順番に気をつけることでも、食後の血糖値の上昇を抑えることができます。
野菜や海藻などから食べ、糖質を後回しにする「ベジタブルファースト」という食べ方です。糖尿病の方は、食べ始めてからインスリンの分泌が開始されるまでに時間がかかります。野菜を食べてから魚や肉などのタンパク質、そして最後に血糖値の上昇の原因となる糖質を持ってくることで、インスリンが効きやすい環境を整えてあげるのです。
早く、しっかりとインスリンの分泌を促すためには、よく噛むことも大切です。麺類をずるずるっとあまり噛まずに食べたり、空腹時に糖質を多く含む飲み物を飲んだりすると、血糖値は上昇しやすくなります。よく噛むことは、満腹感をもたらしますので、食事量のコントロールという意味でも大切です。
当院での食事療法
当院での食事療法では、以下の主に指導を行っています。
①間食はしないこと!
おやつは普通、“小腹が空いたな”というときに摂りますよね。しかしそのタイミングは、食事を終えてすい臓が休んでいる時間帯でもあるわけです。このときに間食を摂ると、インスリンの分泌が追い付かなくなり、血糖値の上昇を招きます。
特にその後に仕事や家事などで運動をすることのない「夜の間食」は糖尿病治療・予防の大敵です。
②食べる時は、順番に工夫を!
先述した通り、食事は野菜→タンパク質・脂質→糖質(炭水化物)の順番で摂るようにしましょう。
また、よく噛むことも大切です。
③食べ過ぎたときには食後に身体を動かす!
糖尿病の治療中でも、やはりどうしても「食べ過ぎてしまった」ということは起こり得ます。
そういったときには、食後に運動をするようにしましょう。通常、血糖値のピークは食後1時間後に訪れます。そのため、特に食後1時間以内の運動が有効です。
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動をおすすめします。
糖尿病看護認定看護師・糖尿病療養指導士(CDEJ)・糖尿病療養指導士兵庫(CDE兵庫)・管理栄養士の資格を持つスタッフが食事・栄養相談を行っております
糖尿病治療に力を入れる当院では、院長だけでなく、スタッフも高度な知識を持っています。
糖尿病看護認定看護師、糖尿病療養指導士(CDEJ)、糖尿病療養指導士(CDE兵庫)、管理栄養士の資格を有するスタッフが常駐し、細やかな食事・栄養指導を行います。
医学的根拠に基づきながらも、患者様のご希望やライフスタイルに合った無理のないアドバイスをいたしますので、どうぞお気軽に、なんでもお尋ねください。
運動療法
糖尿病治療での運動療法と言えば、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が有効です。しかし、通勤や家事の中でも、階段の上り下り、掃除や洗濯などで一部を補うことができます。 無理をすると、やる気の減退やケガのおそれもありますので、患者様のお身体の状態やライフスタイル、スポーツ歴などを考慮したメニューをご提案します。 運動療法は、特に食後1時間以内に行うのが有効です。
食後に実践しやすい運動
無理のない有働療法で血糖値の上昇を抑えるためには、ちょっとした工夫も重要になります。 以下のような工夫の中から、できそうなものから取り組んでみてください。 ・食後に一休みせずに洗濯や掃除などの家事にとりかかる
- 食後の散歩
- 外食をするときは少し遠い店に歩いて行ってみる
- 外食をしたあと、街をぶらぶらと散歩する
- 食後にゆっくりしたいときには、ストレッチをしながら
- 昼食後に夕食の買い物に行く