インスリンをやめたい

インスリンをやめたい方へ

インスリンをやめたい(インスリン離脱)とお考えの方はあずま糖尿病内科へご相談ください糖尿病患者さんの中でインスリン注射を打つということに抵抗がある方は少なくありません。また、インスリン注射を開始してからも多くの方が打つ量を間違えていないか、外出先でちゃんと打つタイミングを確保できるか、人前で打つのを遠慮してしまう、といった不安や不便を抱えています。
しかし「インスリン注射は絶対にやめられないもの」ではありません。
適切な検査を受け、医師と協力して食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせた治療を継続していけば、インスリンから卒業(離脱)することが可能です。インスリンから離脱するには、糖尿病を含めた生活習慣病への理解、現状の把握が患者様にも求められます。
当院では、患者様にも糖尿病という病気と治療のメカニズムを理解していただき、前向きに取り組めるよう全力でサポートいたします。
糖尿病治療を諦めたくない方、インスリン注射からの離脱を目指したい方は、西宮市のあずま糖尿病内科クリニックにご相談ください。

インスリン注射を卒業してからのこと

インスリン離脱経験者についてインスリン注射の卒業が叶ったとき、患者様は心から喜んでくださいます。 治療そのものはその後も継続していく必要があり、中にはインスリン注射を再開しなくてはならないケースも存在します。ただ、今からそのことを過度に心配する必要はありません。 インスリン注射の卒業が初めて叶った時点で、患者様は以前よりずっと正しく糖尿病に向き合うことができているのです。また、治療の意味や効果だけでなく、どういった生活習慣が良くないのか、またなぜその生活習慣が良くないのか、ということが分かっていらっしゃいます。

当院でインスリン注射が再び必要になるケースが少ない(6%)のには、そういったことも影響しているものと考えます。 自信を持って「インスリン注射の卒業(離脱)」という目標を掲げて、一緒に治療に取り組みましょう。

インスリンをやめることができた患者さんのケース

インスリン離脱ケース1

患者さん 71歳(男性)
治療を行うきっかけ

54歳ごろからの2型糖尿病にて他院にて治療中も当院受診前5か月間ほどは治療中断。頻尿、口渇感もあり知人のすすめもあり当院受診。受診時HbA1c13.6% 随時血糖331mg/dlと高値指摘。

体重66.7㎏BMI22.5と肥満を伴っておらず、インスリン分泌能低下を伴った糖毒性状態と判断し、1回/1日のインスリン(基礎インスリン)導入となった。朝の血糖を指標にしばらく、電話にてインスリン単位数の指示を行った。食後血糖改善目的で経口血糖降下薬も併用となり、受診前2日は食前、食後2時間含めた6回/日測定を指示。最大で8単位/日のインスリンを使用したが、比較的速やかに血糖値は改善。

治療期間 約2か月間
現在の状況 当院での治療開始後、4か月後にはHbA1c7%未満を達成し、通院開始後約3年半経過後の現在も7%未満を維持できている。
先生

インスリン注射を行うと初めて説明された時はどのような気持ちになりましたか?

患者さん

とにかく落ち込みました。
以前の職場にインスリン注射を打たれている方の苦労話をよく聞いており、旅行先に事前に連絡を入れたり、人工透析までされていました。
そのことが頭に浮かび、今まで自分は健康体である自信がありましたが、インスリンという地獄に入ってしまったことに打ちのめされたように感じました。

先生

インスリン注射を行っていく中で大変だったことは何ですか?

患者さん

大変だと思ったことはありません。先生の指示を厳格に守れば自分もインスリン注射から離脱出来ると言い聞かせていたからです。
少し前の医院のデータですが、23人のインスリン注射からの離脱患者さんがおられるという手本がありましたので自分が24人目の離脱者になるぞと心に決めていたため、スムーズにインスリン注射を受け入れました。
インスリン注射の単位数が1単位くらい下がった時のうれしさと達成感が励みとなりスムーズに対応出来ました。

先生

インスリン注射をやめることが出来てどのようなことを思いましたか?

患者さん

ついにインスリン注射から離脱が出来ることが何より嬉しかったです!
インスリン注射というアリジゴクから抜け出せたことは自分を褒めてあげたいとともに、毎日の食事などにおいて、支えてくれた妻に心より感謝を述べたいと思いました。
大好きな海外旅行にもインスリンを持っていくことがなくなり、面倒な手続きをしなくてもよいことにほっとしています。

先生

インスリンをやめることが出来たポイントは何だと思いますか?

患者さん

一人だけではやめることが出来なかったと思います。先生、看護師さん、そして、妻が一緒になって助けてくれたことが最大のポイントです。
自分自身は24人目の離脱者になるぞと強い気持ちを持ち、食習慣を見直しました。

先生

食事はどのように気を付けましたか?

患者さん

味付けをしない野菜を中皿に山盛りにして食べました。
朝と昼食の中に少しの果物を取り入れました。
・主食はお茶碗に軽めの一杯です。(朝と昼食は普通量)
間食は一切しなくなりました
・飲み物は、水、ウーロン茶、コーヒー(ブラックのみ)、グアバ茶などで、糖分や人工甘味料が含まれている炭酸飲料は飲まなくなりました

インスリン離脱ケース2

患者さん
症状
実施した診療
現在の状況
患者さん
先生
患者さん
先生

インスリン離脱患者数の検討

ありがたいことに2015年8月の開院以来、インスリン離脱患者数も100名を超えてきましたので離脱患者さんの背景をデータにして検討してみました。2015年8月の開院から2020年5月までデータが確認できている116名(男性71名 女性45名)での検討です。

当然の結果ですが、インスリン導入時の血糖管理は不良で(平均HbA1c:10.65±2.2%)離脱時は改善傾向(平均HbA1c:6.75±0.9%)を認めます。離脱時のみならず離脱後も良好な血糖管理の維持が重要です。詳細なデータは今回検討できておりませんため、後述いたしますが、血糖管理が再度悪化しインスリンが再開された方は7名(全体の6%)ですので離脱後も概ね良好な血糖管理が維持できていると思っています。

疾病期間

疾患期間

まず、罹病期間について検討いたしました。インスリンが必要となる方は大きく2つにわかれます。

  1. 健診や採血にて偶然血糖高値が見つかる、もしくは口渇多飲多尿など症状があり受診された方
  2. クリニックにて継続加療も徐々に血糖管理が悪化しインスリン導入

当院では、②のパターンの方はかなり少ないです。ほとんどが①のパターンもしくは元々他院にてインスリン加療が行われていた方となっています。グラフをみてみても、罹病期間が1年未満の方が27人(24%)と全体の1/4を占めていますが、10年以上の方、特に20年以上の方も25人(23%)と決して少なくないことが分かります。
離脱時の年齢を見ても平均は63.2±14.7歳ですが、70代が30人と最も多く、80代、90代でもインスリン離脱が達成できていることが示されています。

インスリン離脱までの期間

インスリン離脱までの期間

次にインスリン離脱までの期間(インスリンを行っていた期間)ですが、1年以内が66人(57%)と過半数で3ヶ月以内も29人(25%)と早期に離脱することも可能であることが示されました。また5年以上が27人(24%)20年を超える方も5人(4%)いらっしゃいました。つまりどれだけ長期間インスリンを施行されていても離脱という希望は捨てる必要がないことをご理解して頂けるかと思います。

離脱後の転帰

離脱後の転帰

離脱後の転帰についても検討いたしました。血糖管理が不良もしくは少量のインスリンが良好な血糖管理維持のために必要な方(実は重要なポイントです)が7名(6%)いらっしゃいました。93%(92名/99名中)と多くの方が現在もインスリンを施行せずに治療を継続されております。

インスリン離脱患者さんアンケート

見事にインスリン離脱を達成された患者さんのお声をまとめさせていただきました。
みなさんの日々の糖尿病治療のヒントやモチベーションアップにつながれば幸いです。

最後になりましたが、このようにデータをまとめてみますと長年インスリン治療を受けられている方でも多くの方がインスリン離脱を達成され離脱後も良好な血糖管理を維持できていることがご理解いただけるかと思います。ただ、重要なのは誰もがインスリン離脱が可能なわけではありません。
先にも述べましたが、少量のインスリンが良好な血糖管理に必要な方もいらっしゃいます。しっかりとインスリンの適応を見極め、必要最小限の薬剤使用を医師も患者さんも心掛けることが重要だと思います。