当院では患者様のその日の病状を把握し、治療方針の決定、早期の治療を行うための精度の高い検査機器を用いた迅速検査が可能です。
糖尿病の治療時に行う主な検査についてご紹介いたします。
尿糖
尿糖検査は、血糖の状態を調べる簡易検査です。空腹時に尿に糖が出て陽性になる場合は、糖尿病がある程度進行している可能性が高いので、詳しい血糖値の検査が必要です。
血糖値
血糖値をはかることは、糖尿病治療には必要不可欠な検査ですが、血糖値は採血をする時間によりかなり大きく変わってきます。空腹時、食後、前日の食事の内容などによって数値も変わってきますので、下記のように検査のタイミングを分けて測定いたします。
当院では、基本は、随時血糖での受診をお願いしておりますが、食事の時間と食後何時間での採血かはお聞きしますので、ご協力よろしくお願いします。
空腹時血糖検査
10時間以上絶食した空腹の状態で測った血糖値で血糖値が最も低くなる値です。
検査当日の朝食を抜いた空腹の状態で採血し、血糖値を測ります。早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断されます。
経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)
空腹時血糖を測った後、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲み、30分、1時間、2時間後に採血を行い、血糖値やインスリンなどの濃度を測る検査です。
食後高血糖検査
食事をとってから2時間後に血糖値を測ります。
食後インスリンの分泌が足りなかったり、分泌されるタイミングが遅い人では、食後の血糖値がすぐに下がらず、高い値になることがあり、これを食後高血糖と呼びます。2型糖尿病では、糖尿病の初期段階によくみられます。HbA1cが高くなくても、食後高血糖がみられることもありますので、食後高血糖は重要な検査の1つです。
随時血糖検査
食事の時間と関係なく測定した血糖値です。
正常の場合は140mg/dLを超えることはありません。随時血糖値が200mg/dL以上ある場合は「糖尿病型」と診断されます。
1,5-AG
血糖変動の評価値である1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)は、ぶどう糖とよく似た構造をしている糖類で血中にあります。 主に食物から摂取されますが、血糖のように食事に影響されることがなく、健康ならほぼ一定の値を示し、血中濃度の変動がほとんどないとされています。 尿糖の排泄に影響され減少するため、血糖コントロールの検査の中で唯一、値が高いほうがよい検査です。 一般的な1,5-AGの基準値は14μg/mL以上と定められています。
基準値
男性…15~45μg/ml
女性…12~29μg/ml
1,5-AGでわかるのは、過去数日間の血糖の変動ですが、HbA1cやグリコアルブミンより敏感に高血糖に対し反応するという特徴があり、 当院の血糖変動抑制を主眼にした糖尿病治療には欠かせない検査です。また、血糖値のように食事や運動には影響されないので、短期間のコントロールの悪化や治療後の結果もすぐにわかります。
検査方法
1,5AGは 血液を分析器で測定します。
1,5-AG検査でわかること
- 軽度の血糖の改善、悪化がすぐにわかる
- 食後高血糖を含む薬や食事、運動などの治療効果がHbA1cやグリコアルブミンより顕著にわかる
- HbA1cが一見良好であっても、1,5-AGが10μg/ml以下では、血糖の変動が激しいことがわかる
- 食後高血糖に対して数字の反応がわかりやすい
*1,5-AGに関するより詳しい参考サイト : 山内俊一の「よくわかる1,5-AGガイド」
HbA1c
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、血液中の赤血球にあり、全身の酸素を運ぶヘモグロビンの特定部位に余った糖がくっついたものです。高血糖になり、血液中の濃度が高い状態が続くと、HbA1cも徐々に増え、一度結合すると120日間は血液中に存在します。 血糖値は、食事や運動で随時変動しますが、HbA1cは過去1ヶ月~2ヶ月の血糖のコントロールの状態(平均)を反映するため、大きく変動しません。 そのため、HbA1cが高ければ慢性的な高血糖状態にあることがわかります。
※HbA1c値は、これまで「JDS値」で記載されていましたが、2012年4月1日から「NGSP値」で記載されるようになりました。例えば、NGSP値での6.5%は、従来のJDS値では6.1%に相当します。これまで日本で広く使用されてきた「JDS値」は、日本以外のほとんどの国で使われている「NGSP値」に比べると、「0.3~0.5%低い」という差がありました。この差を解消するために、NGSP値で記載されるようになりました。